この本の内容
縄文土器を窓口として
その魅力と縄文らしさ、
縄文時代について解説する書。
1章 縄文土器の世界
地域性から見た縄文土器の解説
2章 「土器型式」を知ろう
土器型式はどのように設定されているのか
特徴的な例の解説
3章 縄文土器の不思議
縄文土器はほんとうに
煮炊き用なのかという疑問にせまります。
いつからいつまでが縄文時代なのかは、
実は明らかになっていないこと、
縄文人と自然との共存についてなどの解説
私の感想
力強いフォルムが素敵な
縄文土器について、
もうちょっと知りたいなと思って
手に取りました。
土器、陶芸の観点からの解説書を
想像していたのですが、
考古学的な観点で描かれた本でした。
求めていた物と違うからといって
がっかりしたわけではありません。
巻頭の縄文土器の写真は
見応えありましたし、
土器は、煮炊きする為にあったのか?
そうであれば、
なぜ煮炊きしたものを食べるための
皿や茶碗は見つからないのか。
それが未だに謎だ
という話は興味深いです。
縄文土器のフォルムを
時間をかけても見入ってしまうのは、
用途が想像付かないからというのが
理由の一つかもしれません。
縄文デザインには、
精神世界がこめられているのでは
という解説もありました。
使い勝手を犠牲にしてまで、
容器にどうしても付託せねばならぬ
「ナニカ」があったのではと
推測されています。
縄文土器を理解するためには、
自然界の仕組みと生態系を知り、
また人間以外の存在を、人と同じような存在として認める
心のありようが必要だと著者が考えているように
翻弄されている私ですが、
縄文土器を見る事で
日本人の心の奥底にある
「共存」という感性が
引っ張りだされるのかもしれません。