2018-11-30 「民芸とは何か」 柳宗悦 青空文庫 陶芸(陶磁器)本のレビュー 陶芸(陶磁器)本のレビュー-読み物 目次:第一篇 なぜ民芸に心を惹かれているか第二篇 民芸から何を私が学び得たか私の感想民芸についての説明とか、自分が惹かれている理由を解説しているとかそんなレベルではなく、ものすごくロジカルに、民芸が素晴らしいでしょ、ね、そうでしょ?(そうじゃないなんて、言わせねーよ!)的な。ある意味、圧力さえ感じるような理論だった、強めの文章は、反論の余地がないのです。まさに、プレゼンテーションの鏡!なのではないでしょうか。テクニック的にも、大量生産で、平民が日常的に使う器を、価値を見直してもらおうというときに使っている文章が、「温室の花をのみ美しい花と見る時、人々はしばしば野の花の美しさを忘れている」そうだよねーって頷かずにはいられないじゃないですか。また、自分だけではなく、自分よりも皆さんの信用を得ている人も言ってるんですよというテクニックとして、初代の茶人を引っ張ってきて、初代のころに使われていた茶椀は、支那の貧しい人々がつかう飯椀だった。それを茶人は、価値あるものと言ったのだ。とこちらも、そうか、そうか、と納得せざるを得ません。こういう「人を説得できる、プレゼンする能力」のある人がプロデューサーとして大成するのかなと感じました。他にも、必要な能力は様々ありそうですが、「工芸の手わざのスキル」よりも、プレゼンスキルのほうが重要そうだなと思いました。プロデューサー業って後世に語り継がれる人の出るすごい職業なんだなと感じるようになりました。陶芸家ではないのに、陶器の世界で名が残っている北大路魯山にしろ、民芸の運動を起こした柳宗悦にしろ、どちらも共通するのは、プロデュース力だと思いました。