SPICY GARDEN

陶芸分科会女子......あれから30年!

「オブジェ焼き」八木一夫 講談社文芸文庫

この本の内容

八木一夫の陶芸随筆

背表紙より、

京都五条坂の陶芸家の長男として1918年に生まれ、自己内部の純粋な感情表出としての作品を求めた末に、非実用のオブジェ焼きに到達した造形作家の八木一夫

「ザムザ氏の散歩」等の実用を排した多くの傑作を残した、戦後陶芸界の推進者が京都での幼少、青年期をかたり、精神のよりどころを示して、独自の芸術を凛然と宣言する。

天才的個性の内奥を知る凝縮された文章。

 

 

私の感想

庶民が使うものの中に芸術を見いだす、

「民藝」に対比して名前があがることの多い

八木一夫とは、

どんな人なのかと興味を持って手に取った一冊。

 

本人が書いた何冊かの書物から

抜粋して文庫になっている。

 

人物像全体を知るという意味では

本人がかいたものより、

他人が客観目線で書いた物の方が

良かったのかもしれないとも思うが、

 

本人が芸術なり、

作陶なり、日常をどう捉えて

過ごしていたのかは

やはり本人の言葉を読むのが

いいのかもしれない。

 

家の改築のこととか、

テレビで何を見たとか、

子供の頃のじんましんが治った話とか、

普通の人だわーという感じもかなり受けたが、

 

芸術家のイメージに

ぴったりだと思うのが

内部に枯渇したものがあるほうが良い仕事ができる。

と思っていたような節があるところ。

 

オブジェ焼きにたどりついた過程も

書いてくれてるといいなーと思って読んでいたら

「他人のにしろ自身のにしろ、

てあかのついた仕事はやりたくなかったので」とあった。

 

「器物造りの日々に

退屈したということにすぎないように

思われる」

とのこと。

 

自分に正直に生きた人なんだなと思いました。