陶磁器の価値は
どのように決まるのか。
そんな疑問から、手にした一冊。
骨董品についてあれこれ説明した本は
難しすぎるので、
読み物として楽しめるものから
始める事にしました。
アジア旅行に興味もあり、
「南方見聞録」というタイトルにも
惹かれたかも。
フィリピン、タイ、インンドネシアに
買い付けに行った話が多かったです。
まだポルポト派が健在だったころに、
カンボジア国境まで行っていたり。
全編を通して感じたのは、
骨董ハンターには、
情報と人脈、
度胸と体力が
必須ということ。
フィリピンでは銃弾がかすめたり、
ゲリラに撃たれたり、
買おうとした壷に蠍がはいっていたり、
「冒険談」としても、スリリングな内容。
骨董ハンターは、仕入れと売値の差額で
儲ける事が仕事のすべてかと思っていましたが、
まだ研究が行われていない地域(ここでは東アジア)の
遺品を集積して、コレクターを増やし、
研究報告書などを収集して人々の興味を引く、
そして新しいテーマを人々に知らせる
そんな使命もあるのだなと知り
熱い気持ちを感じました。
品物を見る目(知識)のほかに、
とても重要なスキルが、
駆け引きで、
会話のところも楽しめます。
現地の骨董屋とのやりとりは、
だまし合いというか、
探り合いの部分が多く、
辟易してしまうのですが、
家に眠っている古いゴミのようなものに
値段がつくのだと初めて知るという
村人から買い取る話では、
こちらも心がちくりと痛む感じがしました。
骨董にこだわらず、
目的を持って旅をした、
まさに「見聞録」として
楽しめました。